最後に交わした約束
昨夜から朝まで土砂降りの雨が降り続きました。梅雨末期のような激しい雨は、西日本豪雨を想起し胸がざわつきます。昼前には回復し気温は30度越えの暑い日になりました。今日も梅雨入りは持ち越しです。一体いつになったら梅雨入りするのでしょうか。
今日の作業ですが、利用者様お二人と焼きさば寿司を作りました。今日も40個のご注文があり、時間との勝負です。品質を落とさず、手際よく作らなければ間に合いません。息をするのを忘れるほど集中して作業しておりました。気が付けば、40個の焼きさばがすべて酢飯の上へ。そう、予定時間より少しばかり遅れましたが、無事に完成させることができました!みんなブラボー!明日は特別メニューのカツカレーの盛り付けを行う予定です。明日も宜しくお願いしますね。
もう少し早く完成させる予定でしたが、ようやく7月の献立表を刷り終えました。光成さん監修の7月の献立もとても良い内容になりました。必ず皆さんに喜んでいただけると思っています。「今月のおすすめ」のイラストは美術の教員をしている私のカミさんが鉛筆書きで夜なべをして仕上げてくれました。手前味噌ですが、良い出来栄えだと思いませんか?
毎月、新献立表が完成すると、200近い企業・団体様に郵送しています。印刷物を三つ折りして封に入れ、糊付けし、切手を貼り終えるまでに、3~4時間程度かかります。ポストに投函するまでの作業は、どんなに忙しくても私一人で行っています。手伝ってもらえば‥との声が聞こえそうですが、「どうか、どうか、ご注文をお願いします‥」と一通一通に心を込めて封入しており、弁当事業を開始して以来の私のルーチンになっています。
【難病の女の子 雪絵ちゃんと先生が交わした最後の約束】(山元加津子)
雪絵ちゃんは12月28日、雪のきれいな日に生まれた女の子で、多発性硬化症(MS)といって、頭の中のいろいろな部分が硬くなっていって、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、手足が動かなくなったりする病気でした。だけど雪絵ちゃんはいつも「雪絵はMSでよかったよ」と言うんです。「MSだから気づけた素敵なことがあるし、車椅子だからこそ知っている素敵なことがいっぱいあるよ。だからMSの私を丸ごと愛するの」って。
私はそんな雪絵ちゃんが大好きで、学校を離れてからもずっとお友達で、「きょうはこんなことがあったよ」と話しては「かっこちゃん、よかったね」と言ってくれていました。でも、病気はどんどん進行して、ほとんど手足が動かせなくなってしまいました。
〔中略〕
雪絵ちゃんは10月に大きな再発があり、意識不明になりました。そして12月26日の9時、電話のベルがなりました。雪絵ちゃんが亡くなった報せでした。家へ駆けつけると、雪絵ちゃんは眠るような優しい顔で横になっていました。私は短かった雪絵ちゃんの人生を思っていました。「MSでよかった」と言っていたけれど、本当は強がって言っていただけなんじゃない? 本当はつらい人生だったんじゃない? そんなふうに思っていたのですが、偶然持っていた荷物の中に、雪絵ちゃんがつくった詩がありました。
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『誕生日』
私、今日うまれたの。
一分一秒の狂いもなく、今日誕生しました。
少しでもずれていたら、今頃健康だったかもしれない。
今の人生を送るには、一分一秒のくるいもなく
生まれてこなければいけなかったの。
結構これって難しいんだよ。
一二月二八日、私の大好きで、大切で、しあわせな日。
今日生まれてきて大成功!
「すのう」に生まれてきて、これもまた大成功!
※「すのう」=雪絵ちゃんのペンネーム
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私は悲しくて悲しくて、ご飯も食べられなかったし、夜も眠れませんでした。「このままじゃ自分がダメになってしまうなと感じた時、最後に雪絵ちゃんと話した日のことを思い出しました。
「かっこちゃん、きょうはどうしても聞いてほしいことがあるの。いまから言うことは、絶対にダメとか嫌とか言わないで」と何度も念押しするんですね。
「いいよ、何でも聞くよ」と言うと、雪絵ちゃんは私にこう言ったんです。
「前にかっこちゃんは病気や障がいは大事だって言ったよね。人間はみんな違ってみんなが大事だということも科学的に証明されているとも言ったよね。それを世界中の人が当たり前に知っている世の中に、かっこちゃんがして」
“世界中なんて、そんなこと私には無理”と言いかけた時、雪絵ちゃんに「何にも言わないで。何でも聞いてくれるって言ったよね」と言われて、私は「分かったよ」と約束したんです。そうだ、雪絵ちゃんとの約束を果たさなきゃ。この思いが私に再び立ち上がる力を与えてくれました。そして本や講演を通じて、多くの人にそのことを伝えたいと思うようになったのです―――。