娘と一緒にいられる時間はわずか4年

 親子が生涯で一緒に過ごせる時間は思いのほか短いと新聞のコラムに書かれていました。関西大学の保田時男教授の試算によると、睡眠時間などを除いて、子どもと顔を合わせている時間は、母親は7年6か月、父親はその半分だそうです。つまり私が娘と顔を合わせられる時間はたった4年弱ということになります。たったそれだけなのか‥と衝撃を受けました。そう考えると一緒にいる時間はとても貴重に感じます。わずか4年で、親として伝えておかなければならないことをきちんと伝えておきたいと感じました。

 過日、利用者様からメモ紙に書かれた手紙を手渡されました。彼なりに一生懸命に書いてくれたのでしょう。とても丁寧に書かれています。それだけに彼の思いが伝わってきました。

「僕がこの作業所に来てもう1年以上経っている。振り返ると早いなと思いました。毎朝、仕事をしていて普通な日もあれば悩みや不安でイラついてしまう日がよくあります。今では大好きな酒を飲まずにここ何日間か過ごしました。病院でもらった薬を飲んで落ち着きを戻したり、しんどい時は休んだりして調子を元気にしています。

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僕はこの作業所に来て、そこからA型事業所だったり、一般の仕事に行けたらなと思い日々頑張っています。実際に行くと自信がなかったり、体力の不安で続かない自分があり、中々結論が出来ない状態なので焦ることなく、いつか良い答えが言えるように頑張っていこうと思います」

 彼はどちらかと言えばマイペースで、現状維持の考えが強い印象でした。今より上のレベルの職場に勤めたいという気持ちが綴られていたことに驚きました。日ごろ聞くことのない前向きな気持ちが聞けて安心しました。

 うららかな風の利用者様はゆっくりですが、それぞれのペースで着実に成長されています。私たちはそれを肌で感じています。日々努力しても望んだ結果につながらないかもしれません。しかし、成長しようと努力を積み重ねていくことこそ、挑戦を諦めたりしないことこそ、人生をより実り豊かなものにしてくれると考えています。