待つのも仕事。自分を磨くのも仕事。

 ある利用者様のことです。業務遂行スキルはとても高く、誰とも親しくできるコミュニケーション力も目を見張るものがあります。一方で、その方は思い通りにいかないとき、はぶてて引きこもる。自分の思いが通らないと周囲にあたりちらす。時には手を挙げてしまう。我がとても強くて、目が覚めるまで数日を要する‥。それが個性。それが特徴。私たちがいくら正論を唱えても聞く耳は決して持つことはなく、一層うちにこもらせてしまいます。毅然とした態度で、結論を急がず、根気強く待つことが大切だと感じています。ある日突然、ケロッと笑顔で現れます。まるで何もなかったように‥。これから先も、何度も何度も同じことが起こるでしょう。私たちが拙速な対応や結論を出さなければ、時間こそかかりますが必ず戻ってこられるでしょう。

「あなた方の常識は非常識だ」

 地方を見下し、省益は絶対に譲らないと抵抗する官僚たちに激怒したのが、当時地方分権改革推進委員会委員長の丹羽宇一郎さんでした。中央集権の壁に穴をあけなければ日本は再生できぬ、との思いは人一倍でした。伊藤忠商事の社長として巨額の不良債権処理を進め、業績をV字回復させた手腕は今も伝説となっています。財界という「村」に収まらず、政権や経済団体に臆することなく物申する方でした。中国大使も務め、日中の関係改善に心を砕いてきました。丹羽さんは、かつてこんな言葉を残されました。

  「会社のために働くな。自分を磨くために働け」

 一見、突き放したような言葉に聞こえますが、その真意は温かいものです。会社を単なる「給料をもらう場所」ではなく、自分という人間を鍛え、成長させるための「道場」だと考えなさい、ということです。丹羽さん自身、社長になっても電車通勤を続け、隙間時間で本を読み、常に自分を磨き続けていました。自分の頭で考え、実力をつけた人が集まるからこそ、結果として強い組織が生まれる。それが彼の持論でした。

 今日の仕事も、単なるルーチン作業としてこなすのではなく、「この仕事を通じて自分はどう成長できるか」という視点を少しだけ持ってみませんか。一人ひとりが自分のためにベストを尽くすことが、巡り巡ってチームの大きな力になると信じて、今日も一日頑張りましょう。