感謝の心を持って生きる

私たちが日頃、「当たり前」だと思ってしまっていることの中に、いかに大きな「幸せ」と「生きる力」が隠されているか、ということについてお話しします。東日本大震災の被災地の方の和歌を読み、深く心を打たれました。
「水 求め五時間並ぶ雪の空 見知らぬ同士で傘さしかけつつ」
凍えるような雪の中、生命の源である水を求めて五時間も並ぶという、過酷な状況。しかし、その極限の状態にあっても、見知らぬ人同士が互いに傘をさしかけ合うという慈愛の心を失っていません。そして、震災後に生まれた川柳には、こうあります。
「幸せは ひねれば水の出る暮らし」
私たちは毎日、蛇口をひねれば、いつでも清潔な水を手に入れることができます。これが、いざその「当たり前」が失われた時、どれほど有り難く、幸せなことであったかを痛感させられます。しかし、この「ひねれば水が出る」という生活が長く続くと、私たちはその有り難さを忘れ、つい無関心になってしまいがちです。先の見えない不安な状況が続く今だからこそ、私たちは改めて、「ひねれば水の出る暮らし」という日常の幸せを噛みしめたいものです。どうか皆さんも、慌ただしい日々を送られていますが、一杯の水をいただく瞬間だけでも、
「ああ、水がある。これは有り難い」
と、しみじみと感謝の気持ちを込めて飲んでみてください。感謝の心を持って生きることは、きっと、私たちの心の安らかさにつながり、この厳しい世の中を生き抜くための免疫力となってくれるはずです。今日も一日、目の前の仕事、そして身近な幸せに感謝して、ともに頑張ってまいりましょう。


