我が闘魂は尽きず~篠沢秀夫さん~

 米不足はいよいよ深刻化しています。しかし坂本農水相は備蓄米の放出について8月30日の会見で、「米の需給や価格に影響を与える恐れがあるために、慎重に考えるべき」と100万トンの備蓄米の放出について否定しました。であるならば、何らかの手を直に打つべきだと思うのですが、今後の見通しを述べて終わり。国会議員は庶民の生活に寄り添っていない、ただ官僚の書いた原稿を読み上げるだけの存在なのだと強く憤りを感じました。米屋、スーパー、飲食店に足を運んで、どんな状況になっているのか実際に見て欲しい‥。見もしないで何が分かるというのか。

 本日は、利用者様とのり弁当、焼きさば寿司を作りました。焼きさば寿司は、脂ののったさばとガリの酸味が良いハーモニーを奏でてくれる逸品。なかなか説明するのは難しいのですが、この美味しさをお知りになった方々は、焼きさば寿司の販売日を心待ちにされており、毎回たくさん買っていかれます。作れど作れど完売必至のうららか名物の焼きさば寿司(税込500円)を、一度ご賞味ください。余談ですが、今日の日替わり弁当の「えびカツ」は、本当においしかった~。オーロラソースとの相性も神レベルで、めちゃウマでした!料理長の腕は、まさにゴッドハンド。

『難病と向かい続けた篠沢秀夫さん』

 人気クイズ番組の回答者として知られていた学習院大学名誉教授の篠沢秀夫さんをご存じでしょうか。篠沢さんが亡くなられるまでの10年間、ALS(筋萎縮症側索硬化症)という難病と向き合ってこられました。声を失い、動くこともできない日々を篠沢さんはどのような思いで乗り越えてこられたのでしょうか―――。

 話すことができず、動くことも困難になったいま、私は「古代の心」で生きています。現代は情報が多く、自分と他人とを比べてしまいがちです。子供の育ち方が平均以下と思って殺してしまう母親の話など、目を覆いたくなるニュースが溢れています。一方、身の回りしか見えない古代の人は呑気だったことでしょう。余計な情報がなく、他と比較して豊かだとか、貧しいとか考える必要もありません。ありのままの自然環境を受け入れて、伸びやかに仲良く生きていたであろう古代人。古代の心では、目に見えることしか分かりません。それでいいのです。現代も全人類の奥底に眠っているこの古代の心で、いまを否定するのではなく、いまを楽しむ。それを提起するのが、ALSの発症後に着想した、新古代主義・ネオアルカイスムです。

 「こうならなければよかった」、「元気な人が羨ましい」などと思うと、心が沈み、体が重くなります。けれども私のいまある姿は、人工呼吸器を付けたことにせよ、自分で選んだ結果です。他人を思い煩うことなく、我が道を行く。そう心に決めて、この一瞬の自分の体に満足すれば、お天気がいいだけでも嬉しいと感じます。声が出せなくても、心の中で好きだったフランス語の詩を吟じ、フランス民謡を歌っていられます。そして、いましようとすることを決めて、一つ上の目標を定めると、心が躍ります。ベッド暮らしになってからは、毎日2時間は執筆に充てると決め、既に、『ぶる ぶる ぶる ブルターニュ大好き』、『美しい日本語の響き』、『命尽くるとも 「古代の心」で難病ALSと闘う』の3冊の本の刊行が実現しました。

 昨年は、クイズダービー以来の知人である女優・長山藍子さんから、陽気で社交的な私の妻・礼子を、劇で演じたいとのお申し出がありました。劇の脚本の土台とするべく、夫婦自伝物語『明るいはみ出し』を半年かけて書き上げました。妻との出会いからいままでを楽しく綴り、大変な分量になりましたが、既に校正刷りとなり出版は間近です。

 人生、何事も上手くいくとは限りません。一時の成功も振り返れば大したことではないと気づいたり、失敗して打ちひしがれることもあります。けれども心の苦しみについては、語らないことで耐えるしかありません。悲しみは口にしないでじっとこらえ、やり直して明るく前へ進めばいいのです。困難に遭うたび、私は自分にそう言い聞かせて乗り越えてきました。“前進 前進 また前進”はいまも昔も私の行動原理です。