サービスの極意 ~10・10・10の法則~

 今日の誕生日の花は、「ヤマボウシ(山法師)」。緑の葉っぱと白に少し緑を溶かしたような色の花。コントラストが鮮やかで遠くからもよく目に留まります。ヤマボウシに先駆けて春に咲くハナミズキは、一青窈さんの歌が世に出てから知名度が上がり、見る機会がずいぶんと増えました。それに比べてヤマボウシは、似たような風貌でありながら、初夏に咲き、なぜか少し地味で、その名をあまり知られていないような気がします。ヤマボウシの花言葉は「友情」。そして、その中国名は「四照花」。これは、開花したヤマボウシが四方を照らすように見えることが由来だとか。うららかな風が利用者様の心を温かく照らし、働く喜び、生きる幸せを感じてもらえる事業所になりたいと心から願っています。

 多くの方が、「うららかな風の弁当は美味しい」と感想を仰られます。昨日も弁当箱回収の際、その言葉を頂きました。料理長を中心に、うららかな風の皆さんが全身全霊で切磋琢磨している証だと思っています。利用者様、そして、職員さんに敬意を表するとともに心から感謝しております。朝礼で話しをするのですが、お客様からの信頼を一瞬にして失うことがあります。100のうちたった1回でもです。できは良くないけどもったいないから‥、時間がないからこの程度でいいか‥云々。私たち自身が品質に対して納得のいかないものをお客様にお届けすることは許されません。お客様への背信行為であり、裏切りです。お詫びをしてでも最善を尽くしたものをお届けする。結果、私たちへの絶対的なファンになってくださいます。

『サービスの極意 10・10・10の法則』(帝国ホテル10代目社長・定保英弥)

 帝国ホテルのサービスの教訓としている算式がありましてね。それが「100-1=0」というものです。ホテルでは、ドアボーイがお客様をお迎えして、それぞれの持ち場が連携しておもてなしして、最後にまたドアボーイがお送りするわけですけれども、そのうちのどこか一つでもミスがあれば、他でどんなに素晴らしいサービスをしてもすべて台無しになってしまいます。ですからたった一つのことでも気を抜いてはいけない。一つマイナスがあれば答えは99ではない、0だというのが「100-1=0」なんです。同じことを「10・10・10(テン・テン・テン)の法則」というふうにも言っています。

 信用、すなわちブランドを構築するには10年かかる。しかし、そのブランドを失うのはたった10秒なのです。そして失った信用、ブランドを盛り返すにはまた10年かかるということです。長い時間をかけてつくり上げたブランドも、たった10秒で崩れます。ですから、一瞬一瞬のお客様との出会いを本当に大事にしなければいけないのです。お客様にご満足いただけると、「さすが帝国ホテル」と褒めていただけるのですが、たった一つでも間違えると、「帝国ホテルともあろうものが」という評価になります。中間の「まあまあ」という評価がないのが当社の宿命なのです。

 ですから「100-1=0」や、ブランドは十秒で崩れるという訓戒を心に深く刻んで、「さすが帝国ホテル」と言われるように頑張ろうと声を掛けています。人間のやることというのは理想どおりには絶対にいきません。必ずミスもあります。その時には、「お詫びとお礼は一秒でも早く」というのが鉄則です。原因をキチッと究明して、そのお客様が札幌でも沖縄でも、飛んでいってお詫びします。これをやらなければ駄目ですね。