人生の三つの坂、「上り坂、下り坂、まさか」
5月の献立表が完成しました!手前味噌ですが、過去の献立表と見比べてみますと進化を実感します。いつも完成したその時は、「今までで最高の献立表だ」と思うのですが、翌月には「先月より更に良い献立表になった」と感じてしまいます。お客様に喜んでいただくために料理長が悩みに悩んで、これはというメニューがあればすぐに献立に加える、日々の飽くなき研究心の賜物だと思っています。チェーン店の弁当屋や大規模な給食会社ではそうはいきません。小さいからこその強みです。明日から配達させていただいているお客様から配布を開始します。近日中にホームページにアップいたしますので、料理長渾身の献立にご期待ください。
人生にはさまざまな「その時」があります。加齢からくる「その時」は男女の別なく訪れます。誰にも例外なく訪れる「その時」は、死です。その時を迎えてどう動くか。人間、永遠のテーマです。
あるテレビ番組に歌手の加山雄三さんが出演されていました。往年の姿とは異なりましたが八十歳と思えぬ若々しさは健在。苦労何て微塵も感じさせない加山さんですが、父親の上原謙さんが事業に失敗、その後始末で大変な苦労をされた時期があったそうです。
「ああいう時、普通は目や背中に憔悴感が出るものだが、加山さんは全然変わらなかったですね。どうしてですか?」
相手の問い掛けに、加山さんはこんなふうに答えました。
「おばあちゃんのおかげです。おばあちゃんはぼくが子供の頃から苦しいことがあると、おまえはいま試されているんだ、と言っていました。また、荷物が重いのではない、荷物が重いと感じるのは自分の力が足りないからだ、とも言われました。この二つの言葉がぼくを支えてくれたのだと思う」
過去にも話したことがありますが、人生には三つの「さか」がある、とよく言われます。「上り坂」、「下り坂」、そして、「まさか」。上り坂、下り坂の時は、そういう坂にきたのだと心の準備ができるのですが、突然くる「まさか」は準備する余裕がありません。まさかは人生最大、最難の時と言えます。その時を迎えてどう動くか。
「而今」という禅の言葉があります。人生には今というこの時しかない、一瞬一瞬が勝負の時という自覚を持って生きよ、との教えです。「その時」は突然くるのではない、いまがその時、その時がいま―――この自覚をもって日々をつとめきる。そこに、「その時どう動く」の解があるように私は思います。