ワンチーム&ワンハート

 今日から4月、新年度がはじまりました。就職される方、進学や進級される方、転勤や異動される方…どんな思いで4月を迎えられているのでしょうか。期待でワクワクでしょうか。それとも不安でドキドキでしょうか。30年前のことになりますが、就職した時のことを振り返ると、若いころは怖いものなしの自信の塊で、行け行けドンドンだったように思います。若気の至り、お恥ずかしい限りです‥。今は色々なことを経験し、昔のような自信家ではなくなり、めっきり臆病者になりました。

 うららかな風の今年度のスローガンを、『ワンチーム&ワンハート』にしました。一つのチームであるためには、みんなの心を一つにする必要があると感じたからです。イライラする時も、苦しい時も、しんどい時も、どんな時も一つのチーム、仲間だからね。みんなで一緒に乗り越えていこう。

 広島県の桜の開花は3月25日でしたが、福山市はまだ一分咲きといったところでしょうか。映画「日本のいちばん長い日」の冒頭、桜吹雪の中、鈴木貫太郎首相が阿南惟幾を陸軍大臣として入閣させるために黒塗りの車で自宅へ向かう場面は、この映画を象徴するシーンです。日本人は、世界中の誰よりも桜を愛してやみません。透きとおるほどの上品な美しさや可憐さに心ときめきます。何よりも、一斉に花びらが散っていく姿に、自分自身を重ね合わせてしまうからでしょう。

『お母さん、私は後3時間で祖国のために散っていきます。胸は日本晴れ。本当ですよ。お母さん。少しも怖くない。しかしね、時間があったので考えてみましたら少し寂しくなってきました。それは、今日私が戦死した通知が届く。お父さんは男だから わかっていただけると思います。が、お母さん。お母さんは女だから、優しいから涙が出るのでありませんか。弟や妹たちも兄ちゃんが死んだといって寂しく思うでしょうね。お母さん。 こんなことを考えてみましたら私も人の子。やはり寂しい。(中略)お母さん。今日私が戦死したからといって どうか涙だけは耐えてくださいね。でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。お母さん 私はどんな敵だって怖くはありません。 私が一番怖いのは、母さんの涙です。』

 これは特攻隊員(不詳 18歳)の遺書です。桜の花びらのように散っていった多くの若者たち。まだまだ生きたかったことでしょう。その無念さを心に馳せながら桜の花を仰ぎ見て、平和の誓いを新たにすることも大切なことかもしれません。