明日は我が身、でも絶対に負けない!

時折新聞で気になる記事を見つけると、写真を撮って保存しています。先月の中国新聞ですが「卵の価格4年で1.8倍」という記事がありました。かつて卵は『庶民の味方』でした。近所のスーパーでは日曜日は50円で販売されており、日曜日を狙って毎週のように買いに行っていました。しかし、それは今は昔となりました。2020年1月は137円、2023年11月は248円に跳ね上がりました。原因はご存じの通り、鳥インフルエンザの流行です。ファミリーレストランでは卵料理が消えるところもありました。もはや、卵料理は味方ではなくなりました。卵ばかりではありません。ウクライナ戦争による影響で小麦粉も1.4倍に上昇しました。そもそも新型コロナウィルスの影響で、飲食業界は大きなダメージを負い満身創痍、続けざまに食材料費等の高騰で追い打ちを掛けられたのです。直近のデータでは、飲食業の倒産件数が過去最多ペースだそうです。明日は我が身にならないように!

うららかな風は、お陰様で多くのお客様からお弁当の注文を頂戴しており、売り上げについては順調に推移しております。ただ利益については芳しくありません。前述の食材料費や使い捨て容器等の包装資材、水道光熱費や配送車のガソリン等の高騰は収益を圧縮させるには十分でした。プラスどころか…。かと言って弁当の単価を安易に上げることはできません。福山市には400円前後の価格帯の弁当が大勢を占めています。ワンコイン500円のうららかな風の弁当は高く、価格競争で歯が立ちません。

一昨日、お問い合わせの電話があり「頼みたいが、500円の弁当はいくら値引きしてもらえるのか?」との内容でした。値引きは難しいとお伝えしたところ、金額が合わないとの理由で辞退の連絡が入りました。やはり安くないとだめなのか…落ち込んでしまいました。

お客様のニーズを常に考えながら、お弁当の枠にはまらないメニュー開発に取り組んでいます。それが、ベーグルであり、ミニコッペパンであり、スイーツでした。スタッフの声ではじめたメニューばかりです。特にベーグルは女性のお客様からのご注文が増えています。ありがたい限りです。しんどい時こそ仕事に没頭し、地道な努力を続けていくことの大切さを学ばせてもらいました。

トーマス・カーライルはこんな言葉を紹介します。

「自分の一生の仕事を見つけた人が最も幸福である。彼は他の幸福を探す必要がない」      

カーライルは19世紀のイギリスで活躍した歴史家であり思想家です。代表作の一つに『衣装哲学』があり、日本でも昭和のはじめには多くの若者に愛読されました。この人には有名な逸話があります。何年もかけて書き上げた大切な原稿を、友人の奥さんが紙くずと思い燃やしてしまったのです。謝る友人に、カーライルは一切語気を荒げず、「また書き直せばよい」と言って、また一から書き直したという話です。その人柄を語る、これ以上の逸話はないでしょう。この言葉はそのカーライルが自らの仕事観を語ったものです。カーライルに限らず、一流の人は確固たる仕事観を持っています。彫刻家のロダンはこう言っています。

「仕事は生活の方便ではない。生活の目的であり、働くことが人生の価値であり、人生の歓喜である」