忿を絶ちて、瞋を棄て、人の違うこと怒らざれ

 昨日は半年前に一般就労に移行された利用者様が、今日は長期入院されていた利用者様が、うららかな風に復帰されました。色々な事情があり離れられる方も当然おられます。一旦は離れても、また戻りたいという方もおられます。いつも申し上げておりますが、うららかな風は「駆け込み寺」であり、「最後の砦」のような存在でありたいと思って運営しております。

 どの様なご事情をお持ちの方でも、私たちは皆さんをお迎えします。どんな理由で退所されても、また一緒に働きたいと仰られれば、絶対にお断りすることは致しません。いつでもうららかな風は皆さんのそばにいます。「止まり木」のように、しんどい時は休息にお越しください。

 うららかな風の利用者様、そしてスタッフは、家族のような固い絆で結ばれています。それを言葉にしたのが、私たちのスローガンである―――

「ワンチーム&ワンハート」

 この言葉は、うららかな風の家族みんなに浸透し、一人一人の心に深く深く根付いています!

 さて、本日は、利用者様二人とアジフライ弁当の盛り付けを行いました。アジフライ2枚がどんどんと鎮座するボリューム満点の弁当に仕上がっています。今週から発売が始まりましたが、売れ行きも好調です。来週からは別メニューになります。まだ召し上がられていない方は、今週中にご注文ください。

人の世の是非善悪はいいかげんなもの』

 聖徳太子の『十七条憲法』の第一に出てくる「和を以て貴しと為す」は、『論語』の中に出てくる孔子の言葉です。聖徳太子は、推古天皇の皇太子となり、政治を司っていました。当時、蘇我氏と物部氏が権力争いをしており、伝来したばかりの仏教を受け入れるか否かで対立は激化していました。

 聖徳太子が十七条憲法の第十に、「忿(こころのいかり)を絶ちて、瞋(おもてのいかり)を棄て、人の違うこと怒らざれ。人皆心あり。心おのおの執れることあり。かれ是とすればわれ非とす。われ是とすればかれ非とす。われ必ずしも聖にあらず、かれ必ずしも愚にあらず。ともにこれ凡夫のみ」

 蘇我氏と物部氏との争いをそばで見ていた、聖徳太子のはがゆい胸の内が伝わってきます。われわれは、いついかなるときも、意識にものぼらないほど深いところで、つねにわが身に執しつづけています。私にとって是か非か、気に入るか気に入らないか、損か得か、好きか嫌いか‥。小さく考えれば人と人と、大きく考えれば国と国とが、どちらも正義の名のもと、神の名のもとに終わりの見えない争いを繰り返しています。ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスといった争いなど、世界中でみにくい戦争が続けられています。

 正義の「正」の字は「一以て止まる」と書き、「一」は「天の心、神の心」といわれています。神が争うはずがありませんので、人間が神や正義をかざして争っているに過ぎません。

 8月はもうすぐ。今年も原爆記念日、終戦記念日が近づいてきました。かつての日本も、天皇を神格化し、無謀な世界戦争に向かい、たくさんの国々の、たくさんの人々が犠牲になりました。残念ながら戦後生まれの私には、戦争の悲惨さはテレビや新聞記事で思いめぐらせるしかありませんが、いまの平和を、孫子、その先まで未来永劫続くよう、橋渡しをすることが、いまを生きる私たちの役割であると思います。けっして、進むべき道を見あやまらないように、ぜったいに、正しい道を踏みはずさぬように。