小善は大悪に似たり。大善は非常に似たり。
毎日のようにスタッフがお弁当やベーグルを買ってくれます。作っているスタッフがです。スタッフには若干割引をしておりますが、微々たるもの。それでも自腹で購入してくれるということは、スタッフ自身もおいしいと思っているからでしょう。スタッフから慕われるお弁当を作ることができ、誇らしく、とても嬉しく思っています。
Z世代が直面する「やさしさという残酷」
イチローさんがある雑誌のインタビューで、次のような興味深い発言をしました―――
「今の時代、指導する側が厳しくできなくなって。何年くらいなるかな。僕が初めて高校野球の指導にいったのが2020年の秋、智弁和歌山だね。このとき既に智弁の監督もそんなこと言ってた。なかなか難しい、厳しくするのはと。でもめちゃくちゃ智弁は厳しいけど。これは酷なことなのよ。高校生たちに自分たちに厳しくして自分たちでうまくなれって、酷なことなんだけど、でも今そうなっちゃっているからね。(中略) でも自分たちで厳しくするしかないんですよ。ある時代まではね、遊んでいても勝手に監督・コーチが厳しいから全然できないやつがあるところまでは上がってこられた。やんなきゃしょうがなくなるからね。でも、今は全然できない子は上げてもらえないから。上がってこられなくなっちゃう。それ自分でやらなきゃ。なかなかこれは大変」
昭和人は高校野球だけでなく社会に出てからも先輩や上司から厳しく鍛えられながら、成長してきたように思います。私のような能力のない人間でも、何とか一人前に仕事ができるよう育ててくれました。確かにあの時は愚痴をこぼしていましたし、腹立たしく感じたこともありました。しかしその発奮が血となり肉となり、自身を成長させてくれました。ですから、今では感謝しかありません。それは正にこの言葉です―――。
「小善は大悪に似たり。大善は非常に似たり。」
上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えますが、結果として部下をダメにしていきます(小善)。逆に信念や愛情をもって厳しく指導する上司は、煙たいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになります(大善)。
厳しい言葉を発するとすぐにハラスメントとバッシングを受けてしまう時代となりました。本当に難しい時代です。しかし、昭和に生きた私は‥やはり変わりません。その言葉には常に愛情を添えつつ、魂をのせて伝えているつもりです。