父を偲んで‥

ある利用者様が、「先祖の墓に行って手を合わせてきました。一年ぶりで草ぼうぼう。草を全部抜いて、気持ちが落ち着きました」と報告してくださいました。

お彼岸が終わりましたが、皆さんは、いかがお過ごしになりましたか?

私は、お盆にお墓参りをしておりましたので、久々という訳ではありませんが、何年たっても、何度行っても、父の眠る墓前で手を合わせると、在りし日の父との思い出が走馬灯のように蘇ります。父と死別して、もう四半世紀が経ちました。早いものです。私は高校から全寮制高校に進学しましたので、一緒に暮らしたのは中学校までの僅か15年間。公務員だった父は、同じ道を歩ませようと何度も助言してくれましたが、思慮のない私は全く聞く耳を持ちませんでした。むしろ正反対の方向にばかり進んでしまい、父を苦しめてしまいました。本当に親不孝な息子です。

父は若くから糖尿病を患っており合併症のため腎機能を失い、週3日の人工透析治療を開始、加えて視力を失い白杖をついて通院する身体になりました。そんな体になっても不摂生を続けておりましたので、身体が悲鳴を上げたのでしょう、私が就職して数年で他界。親孝行もできぬまま、大好きだったお酒を酌み交わすことがないまま、そして妻や孫の顔を見せてあげることもできないまま、逝ってしまいました。

私が50歳を過ぎて障がい福祉の仕事に携わることにしたのも、父にできなかった恩返しという一面があったからでした。この事業を始めて1年を迎えるいま、障がいを抱えるみんなと一緒に仕事ができ、毎日が楽しくてなりません。むしろ私の方が皆さんから生きる喜びや幸せをいただいているように思っています。

父がこの道に導いてくれたのかもしれません。きっとそうです。お墓に手を合わせながら、父に感謝を伝えました。

「天職を与えてくれて、ありがとうございます。うららかな風をいつまでも守っていきます。」