李登輝氏が説いた「武士道」の再覚醒

戦後80年という月日が流れました。 私たちの暮らしは豊かになり、技術は進歩しましたが、ふと足元を見たとき、言いようのない「空虚さ」を感じることはないでしょうか。
かつて、台湾の元総統・李登輝氏は、私たち日本人にこう問いかけました。「日本人は、なぜこれほどまでに素晴らしい精神を捨ててしまったのか」と。
今日は、彼が遺した著書『「武士道」解題』を紐解き、現代の私たちが今こそ学ぶべき「三つの教え」を考えたいと思います。
「私」を捨て、「公」に生きる勇気
現代の私たちは、個人の権利や利益(小さな私)を何よりも優先する教育を受けてきました。しかし、李登輝氏は、「私は私でない私(非我)」という境地を説きました。
自分の欲を超えて、家族のため、地域のため、そして国家のために何ができるか。この「公」の精神こそが、かつての日本を支えた武士道の根幹です。自分より大きなもののために生きるとき、人は初めて揺るぎない自信と強さを手にできるのです。
「誠」という名の自己規律
李登輝氏がもっとも愛した言葉の一つが、新渡戸稲造も説いた「誠」です。 誰が見ていなくとも、自分自身の良心に対して恥じない生き方をする。嘘をつかず、約束を守り、筋を通す。
「効率」や「損得」ばかりが重視される現代社会において、この愚直なまでの「誠実さ」こそが、今の日本に最も欠けている、しかし最も必要な力ではないでしょうか。
歴史への誇りと「ノーブレス・オブリージュ」
李登輝氏は、日本人の自虐史観、自国の歴史を否定的に捉えすぎることを深く憂慮していました。彼は、日本には世界に誇るべき高潔な道徳心があることを、身をもって証明し続けた人です。
「恵まれた立場にある者は、果たさなければならない義務がある(ノーブレス・オブリージュ)」。 世界有数の先進国である日本が、精神的なリーダーシップを取り戻すためには、まず私たち一人ひとりが、自分のルーツに誇りを持つことから始まります。
魂のバトンを受け取る
李登輝氏は、戦前の日本人が持っていた「精神の気高さ」を、台湾の地で大切に守り続けてくれました。戦後80年、私たちは「別の人種」になってしまったのかもしれません。しかし、私たちの血の中には、まだその種火が消えずに残っているはずです。
「日本よ、目覚めなさい」 その叱咤激励に応えるのは、今を生きる私たち世代の責任ではないでしょうか。

