弁当作りに終わりはない

日々弁当作りをしていますと、お弁当作り、お届けすることが目的となってしまいます。人の心は、どうしても易きに流されてしまうもので、マンネリ化するとやがて向上心が失われてしまい惰性で仕事をするようになります。お弁当の評価も下がっていきます。そうあって欲しくありませんし、取り敢えずお弁当を届けるだけの弁当作りは、私たちの目指しているものではありません。

安いだけの弁当、おなかを満たすだけの弁当、そのような弁当は大規模な給食会社様の得意とするところで、私たちの付け入るスキはありませんし、私たちが目指すお弁当ではありません。

私たちが目指しているのは、弁当を前にして今日はどんな弁当かなというワクワク感、ふたを開けたときの喜びそして感動、口に運んだときの満足感、そして食べ終わったあとの幸福感‥。日々、そうした思いを感じていただけるようなお弁当作りに励んでおります。「就労事業所だからこの程度で‥」はNG。就労事業所だからとは言わせないほど圧倒的にクオリティの高い弁当を作る! そしてミシュランから星をいただく!途方もなく高い目標ですが、これがうららかな風の目標なのです。

歌舞伎役者の竹本葵太夫は58歳という若さで重要無形文化財(人間国宝)に認定されました。伊豆大島の一般家庭に生まれ、高校を卒業するとすぐに国立劇場の研修生として伝統芸能の世界に飛び込み、大変厳しい芸の道を究めてこられました。

「常に足らない、足らないと思って自分の芸と向き合っていると、できていると思っていたことにも新たな課題が見つかって、また次の扉が開いていく。『芸に終わりはない』と言いますけれども、『うまいことやっている』と思えば、もうそこで成長は止まってしまいます。」

本当にその通りだと思います。昨日より今日、今日より明日、明日より明後日‥。一日を振り返り、明日への糧とし、その種子を大切に育てていかなければなりません。そうした努力を怠りさえしなければ、きっと花開くときがきます。絶対に!