山田無文老師が説く「本当の自分」
車載温度計を見ると36度。思わず2度見してしまいました。しかも今日はただ暑いだけでなく、湿度も高く、身体に負担のかかる一日でした。梅雨が明ければ今日のような日が連日続く…それはそれでうんざりしますね。長く、暑い夏はもうすぐです。
今日は体験中の利用者様を含む3人の利用者様と、特別メニューの『キーマカレー』の盛り付けをしました。飲食の仕事ははじめてという体験利用者様でしたが、ご飯をよそったり、福神漬を盛り付けたり、正確に作業をされていました。すばらしい! 1ヶ月もしないうちに、ほとんどの仕事をこなされるように思いました。しかし、帰り際には「疲れました…」と吐露。無理は禁物、少しずつでいいですよ。まずはうららかな風の雰囲気に慣れ、仲間たちと仕事をしながら人となりを理解し、関係性を深めていきましょう。仕事は自ずと習得できますから、焦らないでくださいね。
『本当の自分に出逢うには?』
ある学生が山田無文老師(花園大学名誉学長・臨済宗妙心寺派管長)に質問をしたという。
「自分とは何ですか、本当の自分とは何でしょうか」と。
無文老師は、とっさにこう答えました。
「きみは今日から、自分のことを勘定に入れないで何か一所懸命人の為に尽くしてご覧なさい。とにかく一所懸命人の為に尽くして、そして心から良かったと思える自分がいたら、それが本当の自分ですよ」と。
菩提心に生きるとはどういうことかを実に言い得て妙である。自己の完成を求めることも大事なことだが、あまりにも自己にとらわれるとそれが執着になってしまいかねない。それよりも、何かお役に立つことはないか、些細なことでもいいから、何か人様に喜ばれることがないかを探してできる限り勤めてみることが大事であろう。
宮沢賢治が「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と言われたことはよく知られている。それと同じように皆が幸せにならない限り、個人の悟りもあり得ないというのが大乗仏教の精神です。
鍵山秀三郎先生は「日本をよくする法」として、「たとえ政府が百兆円投下しても今の日本はよくなりません。後世に借金を残すだけだと思います。日本をよくするには、国民の一人一人がちょっとした思いやりや人を喜ばせようという気持ちを持つことです」と語っています。何か出来ることはないかと思うことこそ、悟りへの一番の近道だと私は考えています。