しんどい時は、みんな同じだよ

 5月1日はうららかな風の弁当販売を臨時休業にさせていただき、暁の星中・高等学校様の運動会用のお弁当を作りました。私は毎朝、職員の皆さんに向けて伝えたいことをA4用紙1枚に書き留めて読んでもらっています。当日朝に書いた文章を紹介させてください。 

 ”いよいよ暁の星の運動会の開催日になりました。461個のお弁当作りがスタートしますね。私たちにとっては経験したことのない数の弁当を作りますので、戸惑いやしんどさも感じているかもしれません。でも皆さんは、今まで幾多の試練も乗り越え、その度に成長を重ねてきました。今回も同様です。以前にも言いましたが、明けない夜はありません。皆さんが、培ってきた力を発揮すれば必ず良い結果になります。しんどい時は、みんなも同じです。疲れた時は、周りの仲間を見てください。一つの目標に向かう仲間の姿を。一人ではありません。たくさんの仲間がいるのです。前途洋々、さあ、取りかかりましょう!”

 【うららかなコラム】

 ある高校の卒業式の話です。この高校では、成績トップの生徒とスポーツや音楽などで活躍した生徒を表彰していました。その年は、成績優秀である女生徒と県の陸上競技大会で入賞した男子生徒が呼ばれて表彰され、みんなで拍手しました。ここまでは例年通りなのですが、その年はもう一人の名前が呼ばれました。

「山田A子さん」(仮称)。これにはみんな驚きました。なぜなら彼女は成績も良いわけでなく、何のクラブ活動もしていません。よく遅刻するし、早退もするし、学園祭も何の協力もしません。みんな「どうして彼女が」と驚いたそうです。そして一番驚いたのが彼女本人。名前を呼ばれても立ち上がろうともしません。すると校長先生が「山田A子さん。この壇上まで上ってきてください」と呼ばれたそうです。校長先生に直接言われたものですから、彼女は立ち上がり、オロオロしながら壇上にあがりました。

「山田A子さん。あなたはこの三年間、病気の母を看護しながら、四人の弟妹の世話をしながら、よくぞこの学校へ通われました」と。そして校長先生は声を詰まらせて、「あなたのような生徒こそ、我校の誇りであります。ここにあなたを讃えて表彰します」。

 会場はシーンとなりました。そして、彼女は賞状を受け取ると「ううっ」とうめいて、「わー」と壇上で泣き始めました。すると会場にいた生徒達は全員立ち上って拍手したのです。仏様の眼は慈眼と言いますが、これは広く高いところから、私の全てを見通しておられるということです。いつでもどこでもちゃんと私を見守ってくれている。それが分かると安心して生きていける。校長先生は生徒一人一人をちゃんと見ておられたのです―――。