悲しむより、これから先の生き方を考える
お客様からからベーグルのフライドポテトに異物が入っていたとの連絡がありました。捨てずに残しておいてくださり、実際に異物が入っていたことを確認することができました。お客様の立場からすると、さぞ不快で嫌な思いをされたことでしょう。心よりお詫び申し上げます。
私たちが作るお弁当は、私たちが責任をもって安全かつ安心なお食事をお届けしなければなりません。どの様な理由であれ、不具合のある弁当をお届けしたとすれば、私たちが責任を負うことになります。当然のことです。
過日、「10・10・10(テン・テン・テン)の法則」についてこのブログに書きました。信頼を築くには10年かかる、それを失うのはたった10秒、信頼を回復するには10年を要する。一度あることは二度あります。今回の事案は私たちへの警告と考えて、金輪際アクシデントを招かないように皆で改善に努めるとともに、いま一度、安全で安全な食事作りが第一義であることを肝に銘じて、お客様からの信頼回復に努めて参ります。
全盲ろう者として世界で初めて大学の常勤講師となった福島智さんの母で「指点字」考案者の福島令子さんの話を紹介します。
息子の智はね、失明する前に眼圧が上がってね。もう、辛抱強い子やのに泣きました。そうすると、熱は出るし、お部屋の人が皆寄ってきて、足をさすったり何かしながら「頑張れ」とか「神様に拝んであげる」とか言ってくれました。普段泣かない子が泣くんですから、相当痛かったと思うんですけど。大人でも、眼圧が上がったらすごく苦しいそうですね。もう、ほんとにあの時は可哀相やったですよォ。
智は水を飲まなかったら眼圧は上がらないと信じ切っていて、好きな苺を食べる時でも、これ1個で5㏄分かなとか言いながら。そのうち師長さんが「お願いやからヤクルトでも飲んでちょうだい」と言いましたが、意志が強くて頑として拒否し、水でうがいなどをして辛抱していました。智の皮膚はミイラみたいにしわが寄ってね。その後、最後の手術をされたけど、眼圧が上がり切っていてもう手に負えなかったですね。その時、智はね、いろいろと考えたんだと思います。まだ9歳やのに、偉いなぁと思いますよ。
智の入院費用などをたくさん出してくれていた祖父が、智の目が見えなくなったと聞いたら、もう、泣いて、泣いてね。祖母が言うには、家で祖父の姿を3日間も見かけないと思ったら、家の2階へ上がって泣いていたそうです。でも智はね、お医者も恨まなかったし、神仏にも不平を言わず、親にもとやかく言いませんでした。そしてね、自分は失明しているのに、祖父が泣いてると聞いたら病院からこんな電話をしたんです。
「お祖父ちゃん、泣いても仕方ないんだよ。するだけのことをしてこうなったんだから。世界中で一番偉い先生が診てもダメな時はダメなんだよ」って。
そして「僕はね、いま悲しんで泣いてるより、これから先、どういうふうに生きていったらいいかを考えるほうが大事だと思ってるんだよ。お祖父ちゃん、僕は大丈夫だからね」 。
祖父はそれを聞いて、余計泣いたと言いました。親が言うのもおかしいですが、この時は私も、すごい子やなぁと思いました。