おてんとう様が見てござる

開業以来、月に一回程度ですが定期的にご注文いただいている企業様にお弁当をお届けしました。東京に本店がある医療関係の会社様です。対応くださったスタッフ様から「今月で福山営業所を閉鎖することになりました」とご挨拶いただきました。まだまだ注文が少なく、チラシを持って訪問営業にお邪魔したところ、毎月ご注文くださるようになりました。本当に感謝しています。私にとって特別な存在である会社様が福山市からなくなることは、寂しく、残念でなりません。無数に存在する弁当屋の中から、うららかな風を選んでいただきまして、ありがとうございました。

『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。』

これは日本国憲法の前文の一部です。そして後述に『国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う』と高らかに宣言しています。しかし、昨今の日本のあり様は、品格のない、自尊心を持たない、「武士道」とかけ離れた日本人になってしまいました。親日派で知られていた元・台湾総統の故・李登輝氏は、著書の「武士道 解消」で次のように語っています。

『日本人は「廉恥心」を失った。日本人は「名誉」を口にしなくなった。日本人は「徳」を口にしなくなった。』

20年以上前に書かれたものです。そして、今の日本の状況は、新聞の見出しを独占する政治家、不正や不祥事が後を絶たたない企業、SNSの匿名性を利用した悪質な誹謗中傷‥李登輝氏が生きておられたら、この状況を見てどうコメントされたでしょうか。

日本の体たらくぶりは、日本の国民性の劣化だと私は思っています。戦後の米国の統治下で日本の古き良き精神は捨て去るよう教育改革が行われました。いつしか家庭でも、学校でも、学ぶ機会もなくなっていきました。そもそも、廉恥心、名誉、徳は、幼いころから身につけておくものであり、国家の立て直しの原点はそこにあるように思います。

悪いこと、恥ずかしいことをすれば、「おてんとう様が見てござる」。どんなときも高潔さを忘れない精神。わが子にも、利用者様にも、伝えていきたいと思っています。